マイルスとの出会い

最近マイルスを聞くことが多い。

マイルスを聞き始めたのは高校生の頃だ。
しかし、実は初めて買ったCDはレッド・ガーランドである。

レッド・ガーランド・トリオ／アウフ・ヴィーダーゼーン／UCCU-5523
¥1,800


当時二子玉川のミスタードーナッツでかっこいいトランペットがメロディを吹いているジャズが流れているのを聞き、もしかしたらジャズに詳しければ女の子にもてるのではないかと大きな勘違いをし、高島屋のCDショップで目を瞑りながら手に取ったCDがレッドガーランドだった。

家に帰って聞いてみたら驚いた。トランペットが入っていないではないか、ジャズなのに。
ブックレットを読んでみるとどうやらジャズにはピアノトリオというバンドがあるらしく、トランペットは入っていない形態だそうだ。このレッドさんのCDはピアノトリオとのこと。

貴重な2800円を返せと正直思ったが、そのブックレットにはこのレッドさんはマイルスデイビスというトランペッターのバンドの伴奏をしていたとの記述があったのだ。

マイルスデイビスというのは聞いたことがある。

その次の月、マクドナルドのバイトでためた数千円を片手に再び二子玉川へ自転車で向かった。そして、マイルスデイビスのCDを見つけたのである。しかし、余りの数の多さに閉口しつつ、また目を瞑りながら手に取ったCDがこれだった。

マイルス・デイヴィス／ビッチェズ・ブリュー＋１／SICP-834
¥2,835


マイルス最大の問題作の一つ　（マイルスの作品には最大の問題作と言われるのもが数多く存在する）、”ビッチェス・ブリュー”である。

家に帰って聞いてみたら驚いた。ジャズではないではないか。むしろ中学の頃に聞いていたドアーズに近い。

プログレ状態のめちゃくちゃな音の洪水ではないか。貴重な3800円　（二枚組みのため、高かった。）を返せと思った。（今は数万円出してもオリジナルのアナログ盤が欲しいと思っているのだが。）そしてブックレットを見てみるとマイルスという人は時代によってずいぶん演奏スタイルが違うとの事だった。このビッチェスなんとかはロックを取り入れた名盤だそうだ。僕には全くロックに聞こえなかったのだが。ロックといえばX (Yoshiki のね。）とかだったから。

どうやらもっと昔のマイルスがいいらしい。

そして一生懸命チーズバーガーやビックマックを作って次の月にCD屋さんへと自転車を走らせて行った。


この繰り返しで深みにはまっていき、女の子からもてるどころか友達さえも少なくなってゆくのがジャズである。

寒いよ、マイルス。（といったのは谷川俊太郎だっけ？）